バンガード日和

今回のコラムでは、現在の不安定な情勢にも役立つ、米国のお客様のコメントをご紹介します。この記事は、2020年5月にバンガード・インベストメンツ・ジャパンのウェブサイトに掲載されたものです。
ぜひご覧ください。

新型コロナウイルスの世界的な流行により、私たちは今、かつてない現実に直面しています。自分自身の健康、家族や友人や同僚を含めた周囲の人たち、社会全体、私たちの暮らしそのもの、そして投資のポートフォリオについても心配になるのは当然のことです。

世界の金融市場の大きな変動と、過去に例を見ない経済の先行き不透明感は、経験豊富な投資家ですら、その忍耐力が試される状況と言えるでしょう。

2018年に市場が大きく変動した際、バンガードのCEOであるティム・バックリーは、お客様に次のようなアドバイスを行いました。「ボラティリティが高まると投資家の度胸が試されますが、これを『バンガード日和』、つまり規律ある低コストの長期的資産運用が役立つ時期だと考えることがあります。」

端的に言えば、バンガード日和は、投資を成功へと導くバンガードの基本原則の重要性を示しています。そして、この指針は、世界中で数多くの投資家に支持されるようになりました。その理由はこの原則がシンプルで、かつ長い年月をかけて実績を残してきたからです。

投資に対する別のアプローチ

バンガードのお客様はこの基本原則を採用しているだけでなく、支持してくださっています。以下にお客様のコメントをご紹介します。現在のような試練の時でも、大局的な視点を保ちながらポートフォリオを管理するために、これらのコメントが役立つことを願っています。

  • 生涯で得られる投資のリターンのほとんどは、ほんの数回の判断によって決まります。現在はその時期です。先月と同じことを続けましょう。
  • 市場のタイミングを見計らって取引するより、重要なのは投資の継続です。早く投資を開始するほど良い結果が得られます。
  • 市場の変動を通して、ドルコスト平均法を用いると良いでしょう。冷静に忍耐強く、投資を継続しましょう。
  • 投資計画を変えず、嵐が過ぎ去るのを待つつもりです。
  • 私がすることは、「何もしない」ことです。投資が戦略通りに進んでいる限り、市場の動きは気にしません。
  • 投資に関して、役に立っている不変の真実が2つあります。1つは私には将来を予測することはできないこと、そしてもう1つは他の誰にも将来は予測できないことです。
  • 市場は必ず回復するということを忘れないでください。焦らず、着実に行動する凡庸な投資家が勝利します。
  • 雑音を無視し、深呼吸し、長期目標に焦点を当てましょう。

投資アドバイスの重要性*

投資家の中には、ファイナンシャル・アドバイザーから助言を受けて安心したいと考える方もいらっしゃいます。以下のコメントをご覧ください。

  • この2週間で2回、アドバイザーと話をしました。そして下げ相場への備えができていることが分かり、冷静になることができました。非常に保守的な資産配分を行っている私でさえ、この助言がなければダウ平均が下落した時にすべて売却していたと思います。
  • 投資の最大のリスクは行動リスクです。いくらかの報酬を払ってでも、しかるべきアドバイザーの助言を受けることで、こうしたリスクが低減するのであれば、それだけの価値は間違いなくあります。

*投資アドバイス業務は、現在、日本では提供されておりません。

有言実行

バンガードの最近のレポートによると、市場での取引が活発化している間でも、自主運用を行っているバンガードの米国の個人投資家の10人に9人以上は、「航路を守り」、市場の下落に反応して取引していないことが明らかになりました。

実際、何もしないことが最良の行動となる場合があります。何かしなければいけないと感じたら、税効果を考えた損益通算や目標配分へのリバランス、定期的な投資金額を増やすことなどを検討してください。

ただし、富は健康であってこそ初めて意味があります。保健所や政府が定めたルールに従い、常識を働かせ、ソーシャル・ディスタンスを保つ、これが私からのアドバイスです。自分の健康を守りましょう。

注:お客様のコメントは、わかりやすく簡潔にし、文法上正しくするために編集してあります。


ジョン・ヴェルト

ヴェルトは、バンガードのパブリック・リレーションズと戦略コミュニケーション部門を率いる広報の責任者である。1986年の入社以来、コミュニケーションに関わるポジションを歴任、バンガードの株主向け四半期ニュースレター『In The Vanguard』と社員向け月次ニュースレター『Crew’s News』の編集にも携わってきた。テンプル大学で学士号とジャーナリズムの修士号を取得している。


ご留意事項
  • すべての投資にはリスクが伴い、投資元金を割り込む可能性があります。
  • 税効果を考えた損益通算を行う場合、新規に行う投資が当初の投資に比べてコストが高くなったり、ポートフォリオのトラッキング・エラーがお客様の口座に生じたりするなど、一定のリスクが伴います。また意図しない税務上の影響が発生する可能性もあります。同意条件を慎重に検討し、事前に税務アドバイザーに相談されることをお勧めします。

 

バンガードCEOからのメッセージ:新型コロナウイルス感染症に関して

新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行を受け、その影響は広範囲に渡り、私たちの生活、ビジネス、そして株式市場に多大なる変化をもたらしています。 投資家の皆さまに、市場の変動にかかわらず常に “Stay the Course”「航路を守る」こと、投資のコントロール可能な部分に焦点を当てることを助言しています。

この記事は、2020年3月にバンガード・インベストメンツ・ジャパンのウェブサイトに掲載されたものです。
ぜひご覧ください。


皆さま、バンガードのCEO、ティム・バックリーです。

現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大への防備と対応で、世界は非常に厳しい状況に置かれています。

皆さま同様バンガードも、増加の一途を辿る感染者数を懸念しつつ注視し、感染者の方々の一日も早いご回復を祈っております。また世界中で行われている感染拡大と痛ましい死を阻止するための努力に、心から称賛の意を表します。

この伝染病にはまだ解明されていないことが多くございます。健康へのリスクは現実のものとなっており、ビジネスへの短期的な影響は深刻です。ただ、経済への影響が長期的になることはないでしょう。市場は、先行きの不透明さに対する投資家の不安を反映して、急落と反発を繰り返していると言えるでしょう。

バンガードでは投資家の皆さまに、市場の上昇、下落にかかわらず常に「航路を守る」こと、つまり長期的視点を失わず、投資の分散、バランスおよびコストなど、投資のコントロール可能な部分に焦点を当てることを助言しています。

ここで、「航路を守る」とは、直近10年以上そうであるように、市場が穏やかで確実に上昇している時には簡単に実行できる約束事です。

ですが現在のように市場が変動し先行きが不透明な状況の中で規律を守ることは、はるかに困難なことです。バンガードはこのような困難な時期を乗り切り投資を継続するために分散投資をお伝えしています。

私自身が30年業務を行ってきた中で、乱高下する市場を幾度も体験してきました。リプライシングは不可避であり、時には激しく変動しますが、常に予測不可能です。こうした状況では、パニックに陥り性急な行動をとるのは賢いことではありません。慌てて売却した投資家が、再び市場に参入するタイミングを見極めるのは容易なことではありません。実際、長期計画から離脱した投資家は、後悔することが多いのです。

新型コロナウイルス感染症自体は事前に予測できたことではありませんが、予期せぬ市場の変動には、バンガードは常に備えています。

バンガードの経験豊かな投資チームは、市場の低迷を乗り切るすべを心得ています。アクティブ運用担当は、しばしば市場の下落を長期的成長の好機と捉えています。インデックス運用担当は、ポートフォリオ内に適切な流動性が確実に保たれるようにします。これは優れた投資戦略の多くにおいて、市場の下落局面で債券を売って株式を買うというリバランスが行われているからです。

バンガードのお客様は、市場の低迷期を冷静に乗り切るすべを知っていることをこれまで幾度となく実証してきました。ただ、今回市場の変動を初めて乗り切ろうとしているお客様のために、また再確認のために、私から3点申し上げたいと思います。

1つ目は、「航路を守る」という大原則に従うということです。

市場が安定している時に構築した投資計画は、市場が下落局面の只中にあっても、放棄すべきではありません。分散投資のメリットをこの時こそ発揮させましょう。

苦労して築き上げた貯蓄が減少していくのを見るのは、大変辛いものです。ですが、市場のタイミングを見計らおうとする気持ちに負けてはなりません。それは負けの戦略です。バンガードの調査では、リターンを追い求めると、航路を守った時に比べて年間1.5%の損失を出すことが、過去の事例からわかっています。

2つ目は、バンガードが皆さまのお役に立てるということです。たとえ投資の初心者の方でも、また経験豊富なファイナンシャル・アドバイザーの方でも、バンガードは全力でサポート致します。

バンガードのウェブサイトは常に更新され、市場と経済に関する最新の見通しを掲載しています。これらの見通しを皆さまのポートフォリオの運用に活かしていく方法に関して、バンガードの専門家が実用的なアドバイスを提供します。またより具体的なご要望に関しても、バンガードがお手伝いいたします。

お一人で立ち向かわなければならないなどと考えないで下さい。バンガードの使命は、お客様における投資の成功のお手伝いをすることです。

そして最後に、感謝申し上げます。

お客様の投資における成功の鍵を、バンガードに託して下さってありがとうございます。この重大な責任をバンガードは真剣に受けとめ、取り組んでいく所存です。

私たちをとりまく環境は依然不透明ですが、私たちは必ずこの苦境を乗り越え、より強くなって立ち上がると信じています。高かったバリュエーションは、市場によってリプライシングされました。ですが、長期的な成長見通しは、ひきつづき堅調です。

市場の状況にかかわらず、投資目標達成のために皆さまと共に力を尽くすことを楽しみにしています。何卒宜しくお願い申し上げます。

動画は直接YouTubeのページでご覧ください。

※動画は英語のみ、上記は日本語訳になります。

ご留意事項
  • バンガードのファンドについて詳しくお知りになりたい場合はvanguardjapan.co.jpをご覧ください。ファンドの投資目的、リスク、費用、経費、およびその他の重要な情報は、目論見書に記載されています。投資前によくお読みになり、ご検討ください。
  • バンガードETFにおける受益証券の設定または交換は、通常数百万ドル単位のクリエーション・ユニット(原資産バスケットおよび現金)の引き渡しによってのみ行われます。投資家は、流通市場においてバンガードETFの受益証券の売買を行い、証券取引口座にこれらの受益証券を保有しなければなりません。その際、投資家は仲介手数料を課されます。また、ETF購入の際には基準価額を上回る金額を支払い、あるいは売却時には基準価額を下回る金額を受け取る可能性があります。
  • 債券ファンドへの投資は金利、信用、およびインフレリスクを伴います。
  • 分散投資は、利益を保証するものでも、損失を防止するものでもありません。
  • 株式や債券への投資は、カントリー・リスク、地域リスク、通貨リスクなどのリスクを伴います。新興国市場を基盤とする企業の株式は、国と地域の政治リスク、経済リスク、為替変動リスクを伴います。これらのリスクは特に新興国市場で高くなります。
  • すべての投資にはリスクが伴い、投資元金を割り込む可能性があります。
    バンガード・マーケティング・コーポレーション、バンガード・ファンドの販売会社

静観すべきときを知る

新型コロナウイルスの感染拡大が世界規模で広がり、金融・証券市場の動揺が続いています。 市場の下落時にどうすればいいのかと悩む方も多いと思いますが、そこで、「静観すべきときを知る」というコラムをご紹介いたします。

この記事は、2019年7月にバンガード・インベストメンツ・ジャパンのウェブサイトに掲載されたものです。
ぜひご覧ください。


何もしないとは何かをすること

私は2歳児の親であり、ファイナンシャル・アドバイザーを職業としています。そのため、幼い子どもの育児と市場に関わる自身の経験から、気まぐれで、予測し難く、一貫性のない行動についてよく知っています。幼児の場合も、市場の場合も、そうした動きが正常なものであることと分かっていますし、それを予期しています。ですから、そうした状況が起こった場合も(現実に起こります)、私は冷静で落ち着いています。動じることはありません。そして大抵の場合、何もしません。

市場の下落時に、私は意識的に何もしないと決めています。しかし、何もしないのは行うべきことを決断できないからではありません。以下の信念に従っているためです。

市況は急速に変化するもの。今日、過去最安値(または最高値)を記録しても、それが明日も続くとは限りません。例えば、米国株式は2018年第4四半期に約14%下落しました。しかし、市場はすぐに回復しました。2019年第1四半期に米国株式は約14%回復したのです。* 実際にS&P 500は2019年第1四半期に四半期としては約10年ぶりの高い上昇率となりました。これほどの急速な回復は幾分例外的と言えなくもありませんが、市場は急速に変化する可能性があることを間違いなく実証しています。

自身の資産配分を信用する。ご自身の投資目標、リスク許容度、期間を基準として資産配分を行っているのであれば、市場の混乱に対するポートフォリオの耐久力に自信を持たなければなりません。私は、顧客のポートフォリオの資産構成が、数千種類の仮想的な市場環境でどの程度持ちこたえるかを検証するテストを行います。この「ストレス・テスト」では、外因的なストレス要因の下にあっても、適切な資産配分は投資目標を支えるということが幾度も証明されています。

市場の回復期にポートフォリオが回復する機会を与える。上述の例について考えてみましょう。2018年末に米国株式市場が下落したために株式を売却した場合、14%の損失が確定することになります。そのまま株式を保有し続けていれば、保有株式の価値は翌四半期にほぼ完全に回復することになります。

バイ・アンド・ホールドとリバランス

市場の下落に直面したときに何もしないことは、現実から目を逸らすことではありません。実際、市場下落を認識することが、目標とする資産配分にポートフォリオを戻すよう調整する機会を見つける上で役立つ場合があります。定期的に(またはポートフォリオの資産配分がターゲットから5ポイント以上乖離したときに)リバランスを行うことは、リスクへのエクスポージャーを制御できるような資産配分を維持するための簡単な方法です。

*株式市場のデータはダウ・ジョーンズ米国トータル・ストック・マーケット・インデックスに基づいています。   


ローレン・ワイバー

ローレン・ワイバーはVanguard Personal Advisor Services™のファイナンシャル・アドバイザーです。2006年にバンガードに入社し、2009年から富裕層の顧客向けにファイナンシャル・プランニング・サービスや投資アドバイスを提供しています。専門分野は、顧客と良好な関係の構築、そして顧客の財務目標の達成への支援です。

公認ファイナンシャル・プランナー™(CFP®)資格を保有、ペンシルバニア州立大学にて学士号を取得。


注記: 過去の運用実績は将来の結果を保証するものではありません。すべての投資にはリスクが伴います。金融市場の変動やその他の要因によって投資元金を割り込む可能性があることにご注意ください。いかなる特定の資産配分またはファンドの組み合わせも投資目標の達成や一定水準の収入の提供を保証するものではありません。 投資の助言は、登録投資顧問業者であるバンガード・アドバイザーズ・インク、または連邦政府認可の限定目的信託会社であるバンガード・ナショナル・トラスト・カンパニーによって提供されます。

ご留意事項
  • バンガードのファンドについて詳しくお知りになりたい場合はvanguardjapan.co.jpをご覧ください。ファンドの投資目的、リスク、費用、経費、およびその他の重要な情報は、目論見書に記載されています。投資前によくお読みになり、ご検討ください。
  • バンガードETFにおける受益証券の設定または交換は、通常数百万ドル単位のクリエーション・ユニット(原資産バスケットおよび現金)の引き渡しによってのみ行われます。投資家は、流通市場においてバンガードETFの受益証券の売買を行い、証券取引口座にこれらの受益証券を保有しなければなりません。その際、投資家は仲介手数料を課されます。また、ETF購入の際には基準価額を上回る金額を支払い、あるいは売却時には基準価額を下回る金額を受け取る可能性があります。
  • 債券ファンドへの投資は金利、信用、およびインフレリスクを伴います。
  • 分散投資は、利益を保証するものでも、損失を防止するものでもありません。
  • 株式や債券への投資は、カントリー・リスク、地域リスク、通貨リスクなどのリスクを伴います。新興国市場を基盤とする企業の株式は、国と地域の政治リスク、経済リスク、為替変動リスクを伴います。これらのリスクは特に新興国市場で高くなります。
  • すべての投資にはリスクが伴い、投資元金を割り込む可能性があります。
  • バンガード・マーケティング・コーポレーション、バンガード・ファンドの販売会社

インデックス運用のメリットを信じ続けるということ

この記事は、2019年6月にバンガード・インベストメンツ・ジャパンのウェブサイトに掲載されたものです。

投稿日: 2019-09-XX
投稿者: バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社

バンガードCEOからのメッセージ

ティム・バックリー

投資に確実なことなどありません。市場は変動しており、急上昇していたセクターが下落に転じることもあるなど、過去の実績が将来の成功を保証してくれるわけではありません。
こうした不確実性を知っても、老後資金を貯蓄したい、子供を大学に進学させたい、あるいは事業を始めたいと考えている投資家の皆さまにとって少しの慰めにもなりません。


インデックス運用は、予測不能な事態の回避や投資費用の一部を補う手段を提供してくれます。インデックス・ファンドは、市場リターンの獲得という非常に明確な使命の下、何百万人もの投資家の皆さまに、最低限のコストで市場リターンを得る道を開いてきました。

バンガードでは、依然としてインデックス運用について新たなストーリーが生まれています。私たちはインデックス運用の普及において大きな役割を果たしており、インデックス運用を投資家の皆さまに役立てていただける機会はますます増えています。
インデックス運用のメリットはよく知られているものもあれば、そうでないものもありますが、いずれも投資の全体的な状況を変えたという点で、評価されるに値するものです。

インデックス運用が有益性をもたらす4つの理由

低コストであること。
インデックス運用は低コスト運用の代名詞と言われていますが、そこには相応の理由があります。つまり、最終的に投資家の皆さまの手元に残るリターンが大きいことです。さらに、インデックス運用(およびバンガード)が成功したことで、業界全体のコストが引き下げられました。過去15年間で、インデックス・ファンドの経費率の加重平均は0.28%から0.09%に低下しましたが、アクティブ・ファンドは0.83%から0.58%に低下しました。バンガードの調査によると、インデックス・ファンドという選択肢がなければ、1990年代初頭以降に投資家の皆さまが支払ったコストは2,000億ドル近く増えていたでしょう。

分散を可能にすること。
インデックス・ファンドは、かなりの低コストで世界的な分散投資を提供しています。1976年にバンガードは初の個人投資家向けインデックス・ミューチュアル・ファンドを設立しましたが、それ以前は、投資家の皆さまが容易にポートフォリオを分散できる機会は限られていました。例えば、1969年に米国のミューチュアル・ファンドが保有していた株式の銘柄数の中央値はわずか44でした。しかし現在、投資家の皆さまは米国のあらゆる株式に0.04%のコストで投資することができ、世界中に分散された債券と株式のポートフォリオもわずか0.07%のコストで保有することができます。私が28年前にバンガードに入社した当時、これほどの低コストで世界規模の分散投資が可能になるとは想像もしませんでした。

シンプルであること。
アドバイザーや金融機関に資産運用を委託する投資家が増加したことで、インデックス運用の別の利点が浮き彫りになりました。それは、ポートフォリオの構築プロセスがシンプルなことです。そのおかげでアドバイザーは、より付加価値を高める業務に集中することができます。「値上がり」株を探さなくても、インデックス・ファンドを使って顧客のポートフォリオを構成できるため、顧客の長期的な財務上の成果を左右する運用目標の設定や投資行動のコーチングに、より多くの時間を充てることができます。

優れたガバナンス。
インデックス運用が普及するにつれ、優れたガバナンスに対する私たちの提唱活動も活発になっています。バンガードは投資家の皆さまに対して、数年、数十年にわたってその利益を保護し、投資価値の最大化を図る責任を負っています。私たちのファンドの投資先企業が、優れたガバナンスを有し、(目先の決算ではなく)長期的な業績に目を向けている企業となることを確保することがインデックス・ファンド運用会社としての私たちの責任の中核をなしています。

インデックス運用はまだ始まったばかり

近年、インデックス運用は大きくなり過ぎたと言われていますが、私はそうは思いません。
現在、米国のミューチュアル・ファンドに占めるインデックス運用の割合は40%に満たず、多くの投資家がポートフォリオの手数料を払い過ぎている可能性があります。また、米国株式市場の時価総額に占めるインデックス・ファンドの割合はわずか15%です。さらに、インデックス・ファンドは典型的な長期保有投資であるにもかかわらず、米国の証券取引所の売買高の5%にも達していません。したがって、インデックス運用は一般的に考えられているほど大規模とは言えません。

注記:いずれも2018年12月31日現在のデータ。米国の登録済みファンドの資産はモーニングスターを使用(ファンド・オブ・ファンズおよびマネーマーケット・ファンドを除く)。米国株式ファンド市場のシェアはモーニングスター・カテゴリーグループの米国株式とセクター別株式のミューチュアル・ファンドおよびETFを使用。債券ファンド市場のシェアはモーニングスター・カテゴリーグループの債券(課税)ミューチュアル・ファンドおよびETFを使用。米国株式市場の時価総額はCRSPトータル・マーケット・インデックスを使用。米国債券市場の時価総額はブルームバーグ・バークレイズ米国ユニバーサル・インデックスを使用。発行済み証券の保有比率および売買高は利用可能なデータに基づく最良推定値。
出所:モーニングスター、ファクトセット、CRSP、ブルームバーグ・バークレイズ、ArcaVisionのデータに基づきバンガードが算出。

これらの規模を見る限り、インデックス運用が市場を動かし、非効率性を生み出す可能性はそれほど高くはありません。市場の動きは、アクティブ運用のマネージャーが市場価格を決定することにより生じているのです。

インデックス運用の規模はまだピークに達していません。実際には、さらに成長の余地があると私たちは考えています。インデックス運用は規模の経済による恩恵を受けます。運用規模の拡大により効率性が損なわれたり、コストが上昇することはありません。 私たちはグローバル市場には未開拓の部分があり、そこに低コスト投資の恩恵をもたらす機会があると考えています。インデックス・ファンドは確実にそのニーズを満たすことができるでしょう。インデックス運用で獲得できるリターンに対して、あまりにも多くの投資家が高すぎる手数料を支払っています。また、インデックス運用型の株式ファンドは普及してきていますが、債券ミューチュアル・ファンドに占めるインデックス運用の割合はわずか27%程度です。

ご留意事項

● バンガードのファンドについて詳しくお知りになりたい場合はvanguardjapan.co.jpをご覧ください。ファンドの投資目的、リスク、費用、経費、およびその他の重要な情報は、目論見書に記載されています。投資前によくお読みになり、ご検討ください。
● バンガードETFにおける受益証券の設定または交換は、通常数百万ドル単位のクリエーション・ユニット(原資産バスケットおよび現金)の引き渡しによってのみ行われます。投資家は、流通市場においてバンガードETFの受益証券の売買を行い、証券取引口座にこれらの受益証券を保有しなければなりません。その際、投資家は仲介手数料を課されます。また、ETF購入の際には基準価額を上回る金額を支払い、あるいは売却時には基準価額を下回る金額を受け取る可能性があります。
● 債券ファンドへの投資は金利、信用、およびインフレリスクを伴います。
● 分散投資は、利益を保証するものでも、損失を防止するものでもありません。
● 株式や債券への投資は、カントリー・リスク、地域リスク、通貨リスクなどのリスクを伴います。新興国市場を基盤とする企業の株式は、国と地域の政治リスク、経済リスク、為替変動リスクを伴います。これらのリスクは特に新興国市場で高くなります。
● すべての投資にはリスクが伴い、投資元金を割り込む可能性があります。分散投資は利益を保証するものでも、損失を防止するものでもありません。

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バンガード創業者 ジョン・ボーグル、その功績と人生

投稿日: 2019-07-XX
投稿者: バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社

この記事は、2018年1月にバンガード・インベストメンツ・ジャパンのウェブサイトに掲載されたものです。

バンガードは、創業者のジョン・クリフトン・ボーグルが2019年1月16日、ペンシルベニア州のブリンマーの自宅で死去したことをお伝えしなければなりません。89歳でした。
ボーグル氏は、主に2つの非常に大きな功績により、アメリカの投資界において伝説とも言える地位を築きました。

● 初の個人投資家向けのインデックス・ミューチュアル・ファンドを設立し、懐疑的な見方をする人々がいる中で、こうしたコンセプトの後押しを続け、広く認められてきました。
● 絶えず投資家の利益最大化を追求し、ミューチュアル・ファンド業界に低コストのインデックス・ファンドを広めました。ボーグル氏がその哲学を具現化するために創設した会社であるバンガードは、現在、世界最大級の投資運用会社となっています。

バンガードのCEOであるティム・バックリーは次のように述べています。「ジャック・ボーグル氏は、投資業界全体のみならず、さらに重要な点として、自らの将来や子ども達の将来のために貯蓄している数えきれないほどの個人の生活に影響を及ぼしました。ボーグル氏は、傑出した知性を有し、信念を持ち、先見の明があり、そのアイデアは投資方法を大きく変えました。当社は、すべての投資家を公平に扱うという彼の意志を受け継いでいきます。」

「バンガード・エクスペリメント」

ボーグル氏の指導の下、バンガードは、1975年5月1日に営業を開始しました。彼は、ミューチュアル・ファンドを低コストで独自に運営する新たな事業を「バンガード・エクスペリメント(The Vanguard Experiment)」と呼んでいました。これにより、バンガードは、外部の運用会社が利益のためにファンドを運用する従来のミューチュアル・ファンドの構造から大きく変化を遂げました。

ボーグル氏はその10年後、当時を振り返っています。「その時の当社の目標は、ミューチュアル・ファンド・コンプレックスを運用する新たなより良い方法を構築することでした。バンガード・エクスペリメントは、ミューチュアル・ファンドを独自に、また投資家が直接利益を得られるような形で運用できることを立証することを目指していました。」

海軍史が趣味のボーグル氏は、1798年のナイルの海戦で活躍したイギリス海軍提督ホレーショ・ネルソンの旗艦にあやかって会社名を付けました。「バンガード」という名前は、先駆者となってビジネスを進めるというテーマと共鳴すると考えました。航海をテーマとした世界観は、バンガードのロゴや投資家への通信でも見ることができます。

「インデックス・ファンドの父」

1976年、バンガードは、初の個人投資家向けにインデックス・ミューチュアル・ファンドを設立しました。業界内では「アメリカらしくない」や「凡庸に陥る道」などと嘲笑され、設定されたファンドであるファースト・インデックス・インベストメント・トラストには、当初1100万ドルしか集まりませんでした。現在はバンガード500インデックス・ファンドにファンド名を変更しており、業界最大のファンドの1つにまで成長し、4000億ドル以上の資産を保有しています。今日、インデックス・ファンドは、バンガードの管理下にある5兆1000億ドルのうち70%以上を占めています。これは他の多くのファンド会社も扱っており、多くの上場投信(ETF)市場の形成につながっています。ボーグル氏は、個人投資家のためというインデックスのコンセプトのパイオニアとして、「インデックス・ファンドの父」と呼ばれています。

個人投資家に貢献

1977年、ボーグル氏とバンガードは再度、業界の伝統を打ち破り、バンガードはブローカーを通じたファンドの販売を中止し、その代わりに直接投資家に販売するようになりました。当社は、販売手数料を排除し、純粋な販売手数料なしのミューチュアル・ファンド・コンプレックスとなりました。

この動きは、投資家にとって数百万ドルの販売手数料の削減につながるものでした。個人投資家の擁護者であるボーグル氏は、ミューチュアル・ファンドのコストと実績を広く公開することに貢献したことで広く信頼を得ています。投資家の利益保護に向けて取り組むことにより、他のミューチュアル・ファンド組織の同業者の間で一般的であった慣行に反対の声を上げることもよくありました。

1987年にナショナル・インベストメント・カンパニー・サービシズ・アソシエーションで行われたスピーチにおいて、ボーグル氏は次のように強調しています。「我々は単なる産業の一部ではありません。より高い水準、信頼の基準および受託者責任を守らなければなりません。投資家との対話、価格構造、商品、および販売方法の改善が必要です。」

初期のキャリア

ニュージャージー州出身のボーグル氏のキャリアは、1951年にプリンストン大学を経済学における極めて優秀な成績で卒業してから始まりました。ミューチュアル・ファンドに関する卒業論文が、プリンストン大学の同窓生であるウォルター・L・モーガン氏の目にとまりました。モーガン氏は、国内で最も歴史のあるバランスファンドのウェリントン・ファンドを1929年に創業した、ミューチュアル・ファンド業界の重鎮の1人でした。モーガン氏は22歳の野心的な青年を、フィラデルフィアを拠点とする彼の投資運用会社である、ウェリントン・マネージメントで採用しました。

ボーグル氏は実力で順調に出世街道を進み、1967年に社長に就任しました。 ウェリントン™・ファンドを補完する株式ファンドを創設するようモーガン氏を説得し、ウェリントンがミューチュアル・ファンド・グループへと成長する牽引役となりました。ウィンザー™・ファンドは1958年に設立されました。

1967年ウェリントン・マネージメントはボストンの投資会社であるソーンダイク・ドーラン・ペイン・アンド・ルイス(TDPL)と合併しました。7年後、TDPLの主要メンバーとの経営を巡る問題から、ボーグル氏はウェリントンのファンドの事務管理機能を担うバンガードを1974年9月に設立しました。一方、投資運用業務と販売業務はTDPL/ウェリントン・マネージメントが担当し続けました。

バンガードを超えて

健康上の問題から、ボーグル氏は1996年にバンガードの最高経営責任者を退任しました。同年、心臓移植手術を受けました。自らが認める「生まれついてのファイター」であるボーグル氏は、手術を見事に乗り越えました。シニア・チェアマンとして仕事に復帰し、1999年にバンガードの取締役の上限年齢である70歳になるまで働きました。実際にはボーグル氏は決して引退したわけではなく、ボーグル・フィナンシャルマーケット・リサーチセンターの社長となり、投資家のための仕事を続けました。また同時に業界に関する著作や講演を続けました。

受賞および功績

2004年、タイム誌はボーグル氏を「世界で最も影響力のある100人」の1人に選出し、またインスティテューショナル・インベスター誌は生涯功労賞を授与しました。2010年にはフォーブス誌が「過去1世紀に他のどの金融関係者よりも投資家のために良いことを行った」人物と評しました。フォーチュン誌では1999年、投資業界における4人の「20世紀の巨人」の1人に選ばれました。2012年1月、ジョン・C・ボーグル・レガシー・フォーラムにおいては、米国で最も尊敬される金融業界のリーダー達がボーグル氏の功績を褒めたたえました。

ボーグル氏は、投資会社協会の理事会会長(1969年~1970年)および全米証券業協会(NASD、現金融取引業規制機構(FINRA))の投資会社委員会会長(1972年~1974年)など、投資業界で複数の理事会のメンバーとなりました。1997年、当時の証券取引委員会委員長だったアーサー・レビットによって、独立性基準委員会の委員に任命されました。

ボーグル氏は企業社会からの求めに応じて、いくつかの会社の取締役を務めました。また母校であるプリンストン大学を含む14の大学から名誉博士号を授与されました。

市民としての仕事

フィラデルフィアとその周辺地域の熱心な支援者だったボーグル氏は、市民としての仕事にも積極的でした。「私は、私によくしてくれた第2の故郷であるフィラデルフィアを愛しています。ここは私の心の故郷となり、想像もつかなかったようなダイヤモンドを見つけました。」と、その多くの著書の1冊に書いています。

ボーグル氏の市民としての仕事は、教育、リーダーシップおよび公共問題に関係する組織にまで及びました。彼は、米国憲法センターの評議委員会の初代会長と、センターの名誉会長を務めました。ビル・クリントン元大統領も委員会のメンバーを務め、後にボーグル氏の著書である「波瀾の時代の幸福論 マネー、ビジネス、人生の「足る」を知る」のペーバーバック版に序文を寄せています。

スポーツ好きな家庭人

ボーグル氏は1929年5月8日にニュージャージー州のモントクレアで生まれました。ウェイターとして働きながら、苦労してブレアー・アカデミーからプリンストン大学へ進み、同大学の運動競技の切符売り場の管理も務めました。

生涯の大半をクルーカットと呼ばれる髪型で過ごし、長身で運動が得意だったボーグル氏は、スカッシュ、テニスおよびゴルフ、そしてセーリングも楽しみました。コートやゴルフコースではしばしば「手ごわいライバル」と評されましたが、その振る舞いは仕事においても同じでした。読書も楽しみの1つでしたが、ニューヨーク・タイムズのクロスワード・パズルも同様で、しばしば20分もかからずに解いて見せました。

ボーグル氏は1956年に イブ・シェレールさんと結婚しました。2人は、6人の子供たち、娘である4人、バーバラ・ボーグル・レニンガー、ジョアン・ボーグル、ナンシー・ボーグル・セントジョン、サンドラ・ボーグル・マルーチと、息子の2人、ジョン・C・ボーグル・ジュニアとアンドリュー・アームストロング・ボーグルがいます。また12人の孫と6人のひ孫もいます。

ジョン・ボーグル氏の著書

  • Bogle on Mutual Funds: New Perspectives for the Intelligent Investor (1993)
  • Common Sense on Mutual Funds: New Imperatives for the Intelligent Investor (1999)
  • John Bogle on Investing: The First 50 Years (2000)
  • Character Counts: The Creation and Building of The Vanguard Group (2002)
  • Battle for the Soul of Capitalism (2005)
  • The Little Book of Common Sense Investing (2007)
  • Enough. True Measures of Money, Business, and Life (2008)
  • Common Sense on Mutual Funds: Fully Updated 10th Anniversary Edition (2009)
  • Don’t Count on It! Reflections on Investment Illusions, Capitalism, “Mutual” Funds, Indexing, Entrepreneurship, Idealism, and Heroes (2011)
  • The Clash of the Cultures: Investment vs. Speculation (2012)
  • The Little Book of Common Sense Investing: 10th Anniversary Edition (2017)
  • Stay the Course: The Story of Vanguard and the Index Revolution (2018)

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